
食欲が落ちてきた、吐くことが多くなった、そのような理由で動物病院を訪れるネコちゃんは意外とたくさんいます。
このような消化器症状を示す原因はさまざまですが、今回はネコちゃんのお腹トラブル、特に便秘についてお話しさせていただきます。
・正常なうんちとは?
ネコちゃんの正常なウンチは茶色で筒状、指で容易につぶせる程度の硬さをしています。
小さくコロコロしたウンチや、石のように丸くて硬いウンチが続く場合には注意が必要です。
形状だけではなく、ウンチの色も重要です。ウンチの色が黄色や緑色、黒色、グレー、白や赤いものが混じるときには、膵臓や肝臓、胆嚢、腸などの病気が関連しているかもしれません。
・ウンチが何日でないと便秘?
ネコちゃんは子猫のころは1日に2~4回ほど、成猫になると半日から1日半程度ごとに排便するのが一般的です。
毎日排便していたネコちゃんが、2日以上排便しないときには便秘や他の病気(例えば腸の病気―異物を飲み込んでしまうなど)かもしれません。
・動物病院へ行くタイミング
ウンチに関して、こんな症状がみられたら、動物病院で早めの受診をお勧めします。
·トイレで排便姿勢を何度もしているが便が出ない
·排便に時間がかかるようになった。いきむ時間が長くなった
·便がとても硬くて小さい
·便の色が変化した
·食欲や元気がない
·食欲や元気はあるけれど吐いてしまう
·1日数回以上の嘔吐
・ネコちゃんが便秘になる原因とその対処法
ネコちゃんのウンチが硬くなる原因には以下のようなことが考えられます。
·毛玉
特に長毛のネコちゃんでは、グルーミングにより大量の毛玉を飲み込んでしまうことがあります。吐く回数が多く(毎日~1日おき)、吐物に毛玉が混じる、ウンチに毛玉が混じる場合には、毛玉ケアのフードや毛玉を溶かすサプリメント(緩下剤など)を日常的に使用すると効果的でしょう。
·腸管の閉塞や狭窄
ネコちゃんはひも状のものやビニルの袋をくちゃくちゃ噛んだり、おもちゃなど食べ物以外のものを飲み込んでしまうことがあります。このような異物を飲み込むことにより、腸の炎症、閉塞、狭窄(腸管が細くなること)を引き起こし、ウンチが出にくくなる、もしくは出なくなることがあります。また、腸の動きが悪くなる病気や腸の腫瘍などによりウンチの出が悪くなることもあります。
このような病気を発見するためには、レントゲン検査やエコー検査、病状によっては全身麻酔下での内視鏡検査、開腹してお腹の中を探査することが必要になることもあります。
普段から異物の誤飲にはくれぐれも注意し、年に1回程度の健康診断(血液検査だけではなく、エコー検査やレントゲン検査などの画像検査も時々追加するとよいでしょう)を受けることも大切です。
·脱水
ネコちゃんは慢性的な腎臓の病気に罹ることが多く、病気が進行すると二次的に脱水を引き起こしてしまいます。脱水すると、体内の水分を補給しようと、腸からさらなる水分が吸収されるため、ウンチが硬くなる傾向が見られます。慢性腎臓病の場合には、それに対する療法食も大切ですがウンチが硬くなり始めたら、定期的な点滴のほかにもウンチを軟らかくする繊維質の入ったフードをプラスするなどのケアも必要です。
·トイレの場所など
ネコちゃんによっては、トイレが汚れている、他のネコちゃんが使用した後、トイレの場所が気に入らない(安全だと思われない)など、いろいろな理由でウンチやおしっこを我慢してしまう、もしくはトイレ以外の場所でしてしまうことがあります。
他のネコちゃんを迎え入れた、トイレを変えた、ネコ砂を変えた、トイレの位置を変えたなど、何らかの変化があり、かつ、ウンチの性状は変わらないときには、まずはトイレ環境の改善を試みましょう。
・ウンチがでないとどうなるの?
便秘を繰り返す、もしくは長い期間の便秘に対して様子をうかがいすぎてしまうと、慢性的な腸の病気や巨大結腸という、時に手術が必要になる病態を引き起こしてしまうことがあります。また、便秘中のネコちゃんは、食べるのに吐くことを繰り返すことが多く、とても辛そうです。
最近ウンチが硬くて小さいな、ウンチの回数が減ってきたなと思ったら、まずはその原因を究明し、適切な対処を早めに心掛けましょう。
獣医師紹介

ルール 久枝先生
日本で馬と小動物の臨床獣医に従事後、2002年にオーストラリアへ移住。その後はオーストラリアと日本を行き来しながら獣医業と獣医翻訳業に勤しむ。2011年に犬と猫、馬の代替治療院”Essence Care”をオーストラリアで開設。
