ネコちゃんの発情期に気を付けたいこと

 

ネコちゃんは季節繁殖動物といって、1日の日照時間の変化に伴い繁殖期(発情期)が訪れます。

一般的には、日照時間が1214時間以上となり、暖かくなる春先から秋ごろまでが繁殖期と言われています。ただ、お家の中で暮らすネコちゃんは、日照時間が1年中長くなる傾向があるため、繁殖期間(発情期間)が長くなる場合があります。

 

発情期はいつごろから始まるの?

雌猫ちゃんの発情期は、通常6カ月齢から10カ月齢(時に12カ月齢)から始まることが多いのですが、日照時間の変化や成長程度によりもう少し早くから始まる子もいます。

雄猫ちゃんは通常9カ月齢ごろから、体格の良い子ではもう少し早い時期から発情した雌猫ちゃんに刺激を受けて行動の変化がみられるようになります。

 

発情期になるとどうなるの?

雌猫ちゃんは発情期が始まると以下のような行動を示すようになります。

·床や家具、人に対して身体をすりつける動作を繰り返す

·食欲が低下する

·トイレ以外のところで排尿する

·鳴き続ける(普段の鳴き声よりも大きく、特徴的な声になります)

·おしりを高く持ち上げる動作をする

雄猫ちゃんは周りに発情中の雌猫ちゃんがいると以下のような動作を示すことがあります。

·壁に向かって排尿する

·攻撃的になる

·大きな声で鳴き続ける

 

発情サイクル

雌猫ちゃんの発情期には以下のようなサイクルがあります。

1回の発情サイクルは平均3週間程度続くと言われていますが個体差があり、1週間から6週間続くこともあります。

1.発情前期;発情兆候が見られ始めますが、妊娠することはできません。

     15日程度続きます。

2.発情期;発情兆候が強くみられ、妊娠することが可能な期間になります。

    通常7日間ですが、121日ほど続くこともあります。

3.発情休止期;発情期に交尾が行われず、妊娠しなかった場合には一旦発情兆候は停止しますが、219日(平均7日)後に再度発情が起こります。


雌猫ちゃんは妊娠しなければ一繁殖期間中にこのような発情サイクルを数回繰り返します。そして、日照時間が短くなる冬に発情はおさまり、春先からまた新たな発情サイクルがスタートします。

 

発情期中に注意すること

雌猫ちゃん、雄猫ちゃんとも、発情中は普段と異なる行動を示すことがあります。

小さいころからお家の中で過ごしてきた猫ちゃんでも、発情中、外に脱走してしまうことがあります。そのため、窓やドアを開ける際、また、網戸をご使用の場合には十分な注意が必要です。

そして、ご家族やご近所の方が一番悩まされるのは、1日中続く大きな鳴き声かもしれません。

このような行動の変化はホルモンの影響により起きているためコントロールすることはとても難しく、避妊手術が一番適当だと思われます。


猫ちゃんの去勢·避妊手術

近年の調査によると、飼い猫ちゃんの去勢·避妊率はおよそ80%と増加傾向がみられています。

このような手術は、望まない妊娠を防止するだけではなく、猫ちゃんの発情期に伴う身体的および精神的負担を軽減し、ホルモンに関連する病気の発生率を低下させることも期待できます。そして、猫ちゃんとの暮らしをより快適にするため、貢献してくれるはずです。

ただ、手術は全身麻酔をかけて行うため、リスクがまったくないわけではありません。

そのリスクを少しでも減らすためには、手術前に血液検査やレントゲン検査などを行い、健康状態を確認することが大切です。発情に関する悩みや手術への不安については、かかりつけの動物病院にぜひご相談してみてください。

 

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