ワンちゃんが毎日健やかな暮らしを続けていくために‘食べること’は欠かせません。
では、ワンちゃんにとってどんな食べ物が大切なのでしょうか?
いろいろな食べ物、フードにはさまざまな栄養素が含まれています。そのうち、私たちやワンちゃんに欠かすことのできない大切な栄養素はタンパク質、炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミンの5種類です。
人とワンちゃんは雑食性の哺乳類ですが、オオカミが祖先のワンちゃんは肉食性に近い雑食性のため、必要となる五大栄養素のバランスは若干異なります。また、このバランスは年齢や生活環境、健康状態によっても変化します。
タンパク質
タンパク質はワンちゃんの被毛や皮膚、筋肉、軟骨などを健康な状態を保つために欠かせない栄養素です。タンパク質には、肉や魚などの動物性タンパク質と豆類などの植物性タンパク質があり、ワンちゃんは動物性タンパク質のほうが消化しやすいといわれています。タンパク質はとても重要な栄養素ではありますが、アレルギー、腎臓や肝臓の病気、尿石症など泌尿器系の病気に罹っているワンちゃんではタンパク質の摂取量や種類に注意が必要です。
炭水化物
炭水化物はお米や小麦、サツマイモなどから摂取することができ、エネルギー源となるほか、食物繊維として腸活にも役立っています。ワンちゃんにとって、お米や小麦などの穀類から摂取される炭水化物は絶対に必要というわけではないのですが、エネルギー源となるため大切です。サツマイモやかぼちゃに多く含まれる食物繊維は消化を助けるほか、腸内細菌のバランスを整える作用もあるため、免疫機能向上効果も期待できます。
アレルギーに悩まされているワンちゃんに食物繊維はおすすめではありますが、穀類やジャガイモにアレルギー反応を示すことがあるため、アレルギー検査(血液検査)を受けてから食材を選択したほうが良いでしょう。また、サツマイモの皮の部分には尿石症を起こす原因となる成分が含まれているため、皮をむいて柔らかくゆでてつぶしたものを少量、週に2回程度与えるとよいでしょう。中高齢のワンちゃんでは関節炎を起こしている確率がとても高く、そのようなワンちゃんにジャガイモはお勧めできません。
脂質
脂質はワンちゃんにエネルギーを供給するほか、皮膚や被毛の健康維持、脂溶性ビタミン吸収を助ける役割も果たしています。また、ワンちゃんの嗜好性を高める効果もあります。
特に必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸は皮膚病(アレルギー含むを)や関節炎、免疫系疾患、心臓疾患に効果的といわれていますが、摂取するバランスが適切でないと下痢や炎症を起こしてしまうことがあるため要注意です。
それ以外の脂質でもワンちゃんが過剰に摂取してしまうと下痢や膵炎など消化器系の病気起こすことがあります。ワンちゃんは脂肪分を多く含んだ人の食べ物(チーズやハンバーガーなど)を少量摂取しただけでも膵炎を起こしてしまうことがあるため注意しましょう。
ビタミン
ビタミンは体のいろいろな機能がうまく働くよう、サポート的な役割を果たしています。ビタミンには水溶性ビタミン(ビタミンB、ビタミンC等)と脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)があります。水溶性ビタミンは過剰に投与しても尿中に排泄されますが、脂溶性ビタミンは体に蓄積され害を及ぼすことがあります。そのため、サプリメントとしてビタミン剤を投与するときには、その種類と量に注意してください。
ミネラル
ワンちゃんが必要なミネラルにはナトリウムやカルシウム、リン、マグネシウムなどがあります。ミネラルは骨や歯など体を構成する成分として、また、筋肉や神経の働き、体液のバランス調整などに欠かせない栄養素です。ミネラルは欠乏しても過剰に摂取しても体に悪影響を及ぼすことがあるため、サプリメントを投与する場合には注意してください。また、腎臓や心臓、泌尿器系の病気に罹っているワンちゃんでは摂取できるミネラル分が限られてきます。
このような五大栄養素のほかにも、適切な水分を摂ることはとても大切です。新鮮な水を毎日適量飲むことで健康な体を維持することができます。
なお、飲水量は健康のバロメーターにもなります。ワンちゃんによくみられるホルモンの病気や腎臓の病気では水分摂取量が変化するため、毎日の飲水量をモニターするとこのような病気を早期に発見できるかもしれません。
ワンちゃんが元気に楽しい毎日を過ごせるよう、年齢や生活環境、健康状態に合わせたフードやサプリメントを選びましょう。