
【下痢?軟便?】
ウンチは水分含有量と形状などから下痢と軟便に分けられます。
水分含有量が90%以上の液体状便は下痢便、水分含有量が80~90%の柔らかい便は軟便と呼ばれています。
【すぐに受診?】
下痢の場合には動物病院で受診される方が多いと思いますが、軟便の場合、特に食欲や元気があるときや、時々軟便という状況では、もう少し様子を見ても大丈夫かな?と迷われる方が多いのではないでしょうか?
下痢ほどではないけれど軟便がみられるとき、以下のような症状を伴うときには早急の受診をお勧めします。
·嘔吐、特に1日3回以上
·便に血液や粘液が付着している
·食欲低下
·元気がなくなる
·痩せてきた
·寝ていることが多くなった
【短期的な軟便】
ワンちゃんが軟便を起こす原因はたくさんあります。まずは、1週間のうちに以下のような変化がなかったか確認しましょう。
・フードの変更、新しいおやつ、新しいサプリメントを与えた。
・慣れていない場所でのお泊りや遠出、来客、ホテル、トリミングなど環境的ストレスを受けた可能性がある。
・フィラリア·ノミ·マダニなどの予防薬を投与した。
上記のような後に軟便がみられた場合、嘔吐はみられず、食欲や元気があり、粘液便や血便がみられない場合には数日間様子をみてもよいでしょう。
もし、
·人用の食べ物(特に脂肪分の含まれている物)を少量でも食べた。
·暑い環境下で長時間過ごした。
·新しいワンちゃんを迎えた、他のワンちゃんと接触した、ドッグランに行った
など、その可能性がある場合にも、動物病院での受診をお勧めします。
【長期的な軟便】
毎回ではないけれど時々軟便になる、ひどくはないけれど軟便が続くときにも動物病院での検査をおすすめします。
軟便が長引く原因として考えられるのは
·アレルギー性(フードアレルギー)
·感染性;お散歩中など、他のワンちゃんや動物、環境中から寄生虫や細菌などに感染しているかもしれません
·消化器疾患;炎症性腸疾患や膵炎など、軟便を引き起こす可能性のある消化器系の病気はたくさんあります。
·腫瘍 特に中高齢のワンちゃんでは注意が必要です。腸や肝臓など消化器系に起こる腫瘍以外にも、おなかの中の腫瘍に関連して軟便を引き起こすことがあります。
【動物病院では】
軟便がみられる場合には、便検査のほか、フードや環境の変化などについての問診、おなかの動きや痛みをチェックする触診を含む身体検査等がおこなわれるでしょう。その結果、もしくは病状により、血液検査やエコー検査、レントゲン検査なども実施したほうがよいかもしれません。
腸に炎症を起こす病気が疑われ、投薬や療法食では改善の見られない場合には、内視鏡によるバイオプシー検査(全身麻酔下もしくは鎮静下で内視鏡を口や肛門から入れて胃腸の各部位の組織を採取し、その原因を究明する検査)が必要になることもあるでしょう。
そして、軟便の原因が究明できたら、飲み薬や療法食、サプリメントなど、各病状に合わせた治療法が提案されると思います。病状によっては、鍼灸や漢方などを併用した統合治療(現代の西洋的治療と東洋の代替療法を組み合わせた治療法です。)が効果的なこともあります。
ときに軽視されてしまう軟便ですが、ワンちゃんのQOLをキープするためにも、はやめの原因究明そしてケアをスタートしましょう。
獣医師紹介

ルール 久枝先生
日本で馬と小動物の臨床獣医に従事後、2002年にオーストラリアへ移住。その後はオーストラリアと日本を行き来しながら獣医業と獣医翻訳業に勤しむ。2011年に犬と猫、馬の代替治療院”Essence Care”をオーストラリアで開設。
