監修・執筆:ルール久枝獣医師

動物病院を来院する犬のうち、およそ25%は皮膚の症状が関連するといわれています。
そして皮膚トラブルに伴う症状に多いのはかゆみ。
今回は犬にかゆみを起こす病気についてお話しします。
【どのくらい痒がっていたら動物病院へ?】
皮膚に異常がなくても犬は時々体を掻いたり舐めたりすることはあります。
しかし、同じところをしきりに掻いたり舐めるとき、また、皮膚の一部もしくは全体が赤くなる、毛が薄くなる、脱毛する、フケがでる、べたつく、ぽつぽつができる、などの症状を伴うときには一度動物病院で診察を受けたほうがよいでしょう。
また、頭をよく振る、頭の皮膚に異常はみられないけれど頭や首を痒がるときには、お耳の中のチェックが必要です。
【痒みの原因】
1.アレルギー
多くの犬が悩まされている主な皮膚アレルギーには、環境中のアレルゲン(例えば花粉やハウスダスト、カビなど)により発症するアトピー、特定の食べ物により痒みを起こすフードアレルギーがあります。
この二つを併発する犬も多く、それぞれのケアが必要になります。
痒みのため、体表に常在する細菌などにより二次感染を起こしてしまった場合
→抗菌薬、痒みのコントロールにはシャンプー療法やかゆみ止め(ステロイドやステロイド以外のかゆみ止めがあります。)のお薬が効果的です。オメガ3脂肪酸などのサプリメントや腸内細菌をコントロールして免疫力アップすることも重要です。
フードアレルギーが疑われる場合
→低アレルギー食による除去食試験(8週間程度、特定の低アレルギー食だけを給餌する)を行い、それぞれの犬に適したフードを選ぶことが必要になります。
動物病院で時々聞かれるのは、小さい頃はかゆみがなかったのに本当にアレルギーなのか?という質問です。
皮膚アレルギーには、すぐに症状を示すタイプと、アレルギーの原因となるアレルゲンに何度も暴露(触れるもしくは摂取する)ことにより起こるタイプがあります。
アトピーは後者のタイプが多いため、3歳ごろまでに発症することがほとんどです。
ノミアレルギー
犬のノミアレルギー性皮膚炎は、腰や背中にみられることが多く、ノミがワンちゃんに寄生して吸血する際、ノミの唾液が原因となり、激しい痒みや毛が薄くなる、ぽつぽつした丘疹などの症状を伴う皮膚炎です。
ノミ・マダニ予防薬を使われている方は多いかと思いますが、特定の薬剤に耐性をもつノミが確認されているため、注意が必要です。
また、ノミ予防薬は、犬の体表について吸血したノミを駆除する薬剤が多いため、ノミアレルギーを起こす可能性はゼロではありません。
そして、ノミは犬の体表についた後、環境中(ベッドなど)に移動することが多く、予防薬を使っているのに主に背中を痒がる場合には、使用しているベッドを熱湯消毒する、掃除機を日常的にかける、予防薬について動物病院へ相談することをお勧めします。
2.外耳炎
アレルギー体質の子は耳の中の感染・炎症を繰り返すことがよくあります。
首のあたりをよく掻いている犬の中には、外耳炎が原因になっていることもあります。
耳が赤くなっている場合や耳垢が多いときには早急に動物病院で耳の中までのケアが必要です。
外耳炎を繰り返す子は、動物病院での定期的なケアのほか、お家で週に1回程度の耳ケア(イヤークリーナーや点耳薬を使って)も効果的です。
それぞれの犬に適したケア方法については、かかりつけの動物病院に相談してみましょう。
3.そのほか
かゆみを起こす原因には、昆虫類に刺される、異物(芝生の種など)が皮膚に入り込む、ホルモンの病気などがあります。
突然激しい痒みが始まった場合には、早めの受診をお勧めします。
また、中高齢になったら、定期的な健康診断によりホルモンの病気などの早期発見につながるかもしれません。
獣医師紹介

ルール 久枝先生
日本で馬と小動物の臨床獣医に従事後、2002年にオーストラリアへ移住。その後はオーストラリアと日本を行き来しながら獣医業と獣医翻訳業に勤しむ。2011年に犬と猫、馬の代替治療院”Essence Care”をオーストラリアで開設。
