
食糞とは、ワンちゃんが自分の、もしくは他の犬や動物の排泄物を食べてしまう行動です。比較的よくみられる行動ですが、状況によっては検査や治療、トレーニングが必要になることもあります。
子犬の食糞
生まれたばかりの子犬は自分で排泄することができません。そのため、お母さんがお尻をなめて排泄を促し、排泄物を食べてきれいにしてくれます。また、生後間もないワンちゃんには腸内細菌が宿っておらず、様々な腸内細菌を摂取するために食糞する傾向があるという説もあります。
しかし、お腹の調子が悪い、フードが足りていない、栄養不足、運動不足、生活環境中のストレス(分離不安など)などにより食糞行動がみられることもあります。
若いワンちゃんの食糞行動は、本能的な自然なものであれば成長とともによくなることが多いのですが、まず初めに獣医師の診察を受け、身体検査や糞便検査のほか、フードの種類や給与量、生活環境などについてご相談されることをおすすめします。
成犬の食糞
今まで食糞行動のみられなかったワンちゃんが食糞し始めたら要注意です。
特に中高齢のワンちゃんでは、胃腸の病気やホルモンの病気(甲状腺機能低下症やクッシング症候群など)、認知症などが関与しているかもしれません。
食糞行動がみられたら、できるだけはやめに動物病院に相談してみましょう。その際、お水を飲む量や尿量、皮膚の状態の変化、寝ている時間が長くなったなどの情報も準備しておくと診断に役立ちます。また、新鮮な便での検便も有用です。
いろいろな対処法
動物病院で診察を受け、健康上なんの問題もないと診断されたワンちゃんでも、食糞行動がなかなかよくならないことはあります。
そんなときには、以下のような方法を試してみるとよいかもしれません。
1.排泄物をできる限り早くに処分する
このとき注意が必要なのは、排泄物を早く処分しなくてはという飼い主様の焦りや緊張がワンちゃんに伝わり、これまでよりも急いでワンちゃんが食糞してしまうことです。排泄直後に食糞してしまう場合には、ワンちゃんを排泄物から遠ざける練習(おいでと待ての練習)を試みてはいかがでしょうか。
2.食糞行動に対して叱らない
前述したように、ワンちゃんにとって食糞行動は本能的な、自然な行動でもあります。食糞行動を叱ることにより、排便や食糞に対して罪悪感を持たせてしまい、食糞行動が悪化してしまうこともあります。
3.排泄物にスプレー
排泄直後に食糞をしないのであれば、ワンちゃんが苦手なにおい(お酢スプレーなど)を排泄物に吹きかけて、食糞を防止する方法があります。
4.おいでと待ての練習
おやつを使っておいでと待ての練習をしてみましょう。排便後、食糞前に排泄物から離れさせ、待ての間に排泄物を処分します。その際、排便したこと、指示に従ったことをたくさんほめてあげましょう。
その他にも、様々な対処方法があります。
食糞行動がみられたら、まずは健康チェック、そして健康上に異常がなければ、各ワンちゃんに適したいろいろな対処法を試してみましょう。
