日本では2人に1人が花粉症やアトピー、喘息、食物アレルギーなど何らかのアレルギー疾患に悩まされているというデータが報告されています。
ワンちゃんも同じくアレルギーの病気にかかることは多く、特にアトピーや食物アレルギーに悩まされているワンちゃんはたくさんいます。
アレルギーとはいったいどんな病気なのでしょうか?
私たち同様ワンちゃんの体には、体内に入ってきた悪者(細菌やウィルスなど)を退治して体を守る免疫機能が備わっています。
しかし、体に悪影響を及ぼすことのない花粉や食べ物などを悪者(異物)ととらえ、免疫機能が過剰に働くことにより、痒みなど様々な症状を引き起こすことがあります。このような病態をアレルギー、そしてそのような悪者(異物)をアレルゲンと呼びます。
ワンちゃんによくみられるのは、皮膚に痒みや赤みなどをもたらす皮膚のアレルギーと下痢や嘔吐などをもたらす消化器のアレルギーです。
皮膚のアレルギーでは、花粉やハウスダストなど環境中のアレルゲンに反応して起こるアトピー、食べ物に反応して起こる食物アレルギー、ノミアレルギーなどがあります。
また、昆虫に刺されることにより起こるアレルギーや、合成繊維や羊毛に触れることで起こる接触性アレルギーもあります。
食物アレルギーは、下痢や嘔吐などの消化器症状を起こすこともあります。また、耳に痒みや炎症を引き起こす外耳炎を何度も繰り返すこともあります。
このようなアレルギーに適切に対処するためには、どのような種類のアレルギーに罹っているのかを把握しておくことがとても大切です。
動物病院では、適切なノミ駆除剤の処方、アレルギー検査(血液検査)や除去食試験などを行い、アレルギーの種類や程度を判定することができます。 ノミアレルギーの場合には、適切なノミのケアを行うことで症状を良化させることが可能です。 食物アレルギーは、適切なフードを選ぶことで症状を緩和もしくは良化することができます。
アトピーは根治させることの難しい病気ですが、必要に応じて薬を使うだけではなく、ワンちゃんの免疫機能を高めるサプリメントの使用やシャンプー療法などで症状を緩和することは可能です。
なお、アトピーに罹っているワンちゃんの40~60%は食物アレルギーを併発しているため、両アレルギーに対するケアが必要となります。 アレルギーに効果的なサプリメントには、オメガ3脂肪酸やビタミンCなどの抗酸化物質、腸内細菌のバランスを整えるプロバイオティクスなどがあります。
一般的なビタミンCであるアスコルビン酸はワンちゃんに軟便を引き起こすことがあるため、お腹にやさしいアスコルビン酸ナトリウムのほうがよいでしょう。 皮膚アレルギーに罹っているワンちゃんへのシャンプー療法の効果は絶大です。 注意すべき点は、皮膚の症状に合わせた適切な薬用シャンプー(抗菌シャンプーや低刺激シャンプーなど)を用いて適切な方法で行うことです。
通常、シャンプー療法は週に1回行いますが、病状により変わります。また、皮膚のバリア機能を向上させるため、シャンプー後には適切な保湿剤を使うことも重要です。
アトピーや食物アレルギーなどは一生涯付き合っていかなくてはならないアレルギー疾患ではありますが、適切な対応、そしてサプリメントなどをプラスして、ワンちゃんの不快感をできる限り軽減してあげましょう。
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