ワンちゃんのウルウルした瞳はチャーミングポイント!ではありますが、涙がたくさんですぎてしまうと、涙やけを起こしてしまうことがあります。
では、どうして涙がいっぱいでてしまうのでしょうか?
このように涙が過剰に出てしまう病態を流涙症といいます。
流涙症はトイ・プードルやマルチーズなどの小型犬によくみられ、涙が流れ続けるために目の周りの被毛が涙に含まれる成分により茶色く変色し、悪化すると皮膚炎を起こすこともあります。
涙は目の上側にある涙腺や目の下側にある瞬膜腺というところから分泌され、瞬きすることにより眼の表面に広がります。そして、乾燥や刺激、感染から目を守るだけではなく、栄養や酸素を目に供給する役割も担っています。役割を終えた涙は上瞼と下瞼の内側にある穴(涙点)から排出され、涙小管、涙嚢(涙を一時的に貯めておく場所)、鼻涙管という器官を通り、鼻の中へと流れ出ていきます。
流涙症は、涙が排出される通り道に起こる異常や涙の分泌異常、目の表面に涙を保持する機能異常により起こるといわれています。また、アレルギーが関与するとも考えられています。
涙の排出経路の異常
涙を排出する通り道である涙点や涙小管、涙嚢、鼻涙管に以下のような異常が起こると涙がきちんと排出されず、常にあふれ出ている状態が続き、流涙症を起こしてしまいます。
・先天的な狭窄(狭くなること)や閉塞
・感染
・砂やほこり、植物などによる刺激
涙の分泌異常
通常、瞼の外側に生えるべきまつ毛が瞼の内側から生える、または、瞼が内側に入り込む(内反)ことにより、まつ毛が目の表面を刺激し続け、炎症を起こすことがあります。その結果、涙の分泌量が増え、流涙症を起こしてしまいます。
涙の保持異常
水分量の多い涙を目の表面で留まらせるため、瞼の内側にあるマイボーム腺というところから油分が分泌され、涙の上に層(膜)をつくり、涙を目の上にうまく保持しています。
このマイボーム腺が感染やホルモンバランスの変化、加齢などにより正常に機能せず、油分が不足してしまうと、涙を保持することが難しくなり、流涙症を起こすことがあります。
アレルギーの関与
流涙症はアレルギーに関与するのではないかと考えられていますが、現段階では明確にされていません。
上記の原因を除外、もしくは各原因に適した治療を行い、それでも流涙症が継続する場合には、流涙症に対する効果が期待できるフードを試してみるのもよいでしょう。
<検査と治療>
流涙症が疑われる場合には、まず動物病院で診察、検査を受け、原因を究明することが大切です。それぞれの原因により治療法は異なり、全身麻酔下での治療(手術)が必要になることもあります。
また、原因によっては完全に治すことが難しいこともあります。そのような場合には、涙やけを悪化させないよう、また、皮膚炎を起こさないよう、日常的なケアが重要です。
軽度の場合には、ぬるま湯を浸したコットンで涙やけの部分をやさしくきれいにします。1日1~2回程度で大丈夫でしょう。それだけでは不十分の場合には、涙やけ用の洗浄液や洗浄シートを使ってもよいでしょう。
もし、痒がる、皮膚が赤くなる、黄色や緑色の目やにがでる場合には、抗菌薬や目薬が必要かもしれません。そんなときには早めに診察を受けましょう。