
ノミやマダニの予防薬は本当に必要?
ノミやマダニに感染してほしくはないけれど、毎月もしくは数カ月ごとに予防薬を滴下したり飲ませたりするのは心配という飼い主さんは少なくありません。
ただ、犬がノミやマダニに感染する可能性のあるライフスタイル(お散歩に行く、お庭で遊ぶ、他の犬や猫に接する機会がある、旅行する、お出かけするなど)なのであれば、ノミやマダニの病害から守るために予防薬は大切なのかもしれません。
では、犬がノミやマダニに寄生されてしまうとどんな病害が引き起こされるのでしょうか?
ノミやマダニが犬に引き起こす主な病害
【ノミ】
ノミが犬の体に寄生するとかゆみや痛みを示すようになります。
・ノミアレルギー性皮膚炎
ノミが犬の体に寄生して吸血する際、ノミの唾液が原因となり、痒みや脱毛、皮膚炎を起こすことがあります。
・瓜実条虫などによる感染症
犬がグルーミング(自分の体を舐める)する際、瓜実条虫などの病原体が寄生しているノミを飲み込んでしまうと、瓜実条虫がおなかの中に寄生し、消化器症状(下痢等)などを引き起こすことがあります。
【マダニ】
マダニが寄生し吸血しても、犬は痒みや痛みを示すことはあまりないため、すぐに気づかれないことが多いようです。
・皮膚炎
寄生していたマダニを無理やり取り除くとマダニの口の一部が皮膚に残ってしまい、皮膚炎を起こしてしまうことがあります。
・感染症
マダニの寄生で一番怖いのはSFTS(重症熱性血小板減少症候群)ウィルスなどによる感染です。このような病原体はすべてのマダニが持っているわけではありませんが、感染したマダニに吸血されることにより発症し、命を落としてしまうこともあります。このような感染症は犬だけではなく、ヒトでも発症することがあります。
・貧血
たくさんのマダニが寄生し、吸血すると貧血を起こすことがあります。
ノミ・マダニ予防薬の注意点
ノミ・マダニ予防薬は添付文書に従い、正しく使用していればノミやマダニによる寄生をほぼ防止することができるでしょう。
しかし、毎月きちんと予防しているのにノミやマダニがついてしまうことがあります。
その理由として考えられるのは
・市販薬を使用している
市販薬で効果がみられるようであれば問題ありませんが、添付文書の指示通りに使用してもノミやマダニの寄生がみられる場合には、動物病院で処方される予防薬に変えてみましょう。
また、予防薬の種類により、ノミへの効果期間とマダニへの効果期間が異なることがあります。添付文書を確認して、効果期間をすぎないよう注意しましょう。
・耐性ノミや耐性マダニ
地域により、特定のノミ·マダニ予防薬に対して耐性を示すノミやマダニがでてきていることが世界で報告されています。
定期的にノミ·マダニ予防薬を使用しているのに寄生がみられる場合には、予防薬を変えたほうがよいでしょう。
・体についたノミやマダニに効果が発揮されるまでの時間
予防薬により、体についたノミやマダニへの効果発揮時間は異なります。
予防薬によっては、ノミやマダニが吸血することにより駆除効果がみられます。駆除効果がみられるまでの時間は、薬により異なりますが、数時間から24時間(通常8時間以内)です。つまり、ノミ·マダニ予防薬を使用していても駆除されるまでの時間、ノミやマダニはワンちゃんの体についたままになります。
ただ、SFTSなどの病気は、吸血後およそ24時間以上に感染するといわれているため、そのような感染症を予防することはできるはずです。
ノミ・マダニ予防薬の安全性
動物病院で処方されているノミ·マダニ予防薬は比較的安全と思われますが、稀に副作用を示すワンちゃんもみられます。
滴下タイプの予防薬により痒みや脱毛を起こしたり、経口(飲む)タイプの予防薬により嘔吐や下痢を起こす場合には、違うタイプの予防薬を試みたほうがよいでしょう。
獣医師紹介

ルール 久枝先生
日本で馬と小動物の臨床獣医に従事後、2002年にオーストラリアへ移住。その後はオーストラリアと日本を行き来しながら獣医業と獣医翻訳業に勤しむ。2011年に犬と猫、馬の代替治療院”Essence Care”をオーストラリアで開設。
