
寒い冬でも暖かい場所をみつけてぬくぬくと幸せそうに眠るネコちゃん。そんな姿は私たちをほっこり笑顔にしてくれるのでは?
ネコちゃんとの平和な暮らしが少しでも長く続くよう、ネコちゃんの日常的な健康管理はとても大切です。
では、ネコちゃんにはどんな病気が多いのでしょうか?
圧倒的に多いのは、腎臓や膀胱などの泌尿器に起こる病気です。その他には、胃腸や口の中に起こる消化器の病気、心筋症を代表とする心臓の病気、そして、中高齢のネコちゃんでは関節炎がよくみられます。
<泌尿器の病気>
泌尿器とは、体の中に生じた不要な老廃物等を尿として体の外へ排出するための臓器です。それには、尿を作り出す腎臓、尿を一時的に貯めておく膀胱、腎臓から膀胱への通り道である尿管、尿を体外に出す(排尿)ときの通り道である尿道があります。
猫下部尿路疾患(FLUTD)
猫下部尿路疾患とは、泌尿器のうち膀胱と尿道に起こる病気で、特に若いネコちゃんでよくみられます。
この病気は、特発性膀胱炎や尿石症に起因することが多く、特発性膀胱炎は、環境の変化、例えば、引っ越し、新しい家族(ネコちゃんやワンちゃん等)が増えたとき、近所の騒音(工事など)など様々なストレスが引き金となります。尿石症は、おしっこの中に含まれる結晶(ストルバイトやシュウ酸カルシウムなど)や細菌が増えることにより起こりやすくなります。
一般的な症状は、何度もトイレ(おしっこ)に行く、おしっこが出にくい、尿の色が変わる(赤くなる、茶色くなる、白っぽくなる)、おしっこが出なくなる、などです。
元気はあるし、ご飯は食べているから、と様子を見てしまう方が意外と多いのですが、早期に適切な治療を行わないと病状は悪化し、命にかかわることもあります。
慢性腎不全
腎臓は、尿を作り、血液中の老廃物等を除去するほか、水分保持、ミネラル分調整などの役割を果たす重要な臓器です。慢性腎不全は、様々な原因(感染や不適当なフード、アミロイドーシスなど)により腎臓の機能が約70%以上失われることにより発症します。
中高齢期のネコちゃんに多くみられ、その発生率は10歳以上で30~40%、15歳以上では80%を超えるといわれています。また、10%程度ではありますが、若いネコちゃんに起こることもあります。
症状は進行状況により変化しますが、毛艶が悪くなる、飲水量が増えるまたは減る、おしっこの量が増えるまたは減る、体重が減少するなどがあります。
この病気は早期に発見し、適切なケアを施すことで進行を緩やかにし、寿命を何年も延ばすことが可能になるかもしれません。
<消化器の病気>
ネコちゃんに比較的多くみられる消化器の病気には、歯肉炎や歯周炎などの歯周病と胃腸炎があります。
お口の中の細菌が原因で起こる歯周病は、2歳以上のネコちゃんの80%にみられるといわれています。症状は、口臭、歯肉の赤みや腫れのほか、悪化してくるとよだれや口の痛みが目立つようになります。
嘔吐や下痢、食欲の低下、体重減少などを示すことの多い胃腸炎は、感染やアレルギー、腫瘍のほか、誤食(おもちゃなどの異物を飲み込んでしまうこと、特にひも状の異物は腸炎を起こす可能性が高いため要注意です。)など、さまざまな原因により起こります。
<心臓の病気>
ネコちゃんに意外と多いのが心筋症です。症状を示すことがあまりないため、重症化するまで気付かれないことはよくあります。
ネコちゃんは口を開けてハアハアと開口呼吸することは少ない動物ですが、特に運動後に開口呼吸を頻繁にする場合には、動物病院で検査を受けることをおすすめいたします。
<関節炎>
中高齢になり、高いところに登らなくなった、触られることを嫌がるようになった、寝ていることが多くなった、ジャンプを躊躇するようになったなどの症状がみられた場合には、腰や膝、股関節などに関節炎を患っているかもしれません。
最後に
ネコちゃんが痛みや不快感のない日々を過ごせるよう、上記のようなポイントに留意し、些細な変化、症状を見逃さないようにしましょう。
そして、あまり長く様子をみることなく、できるだけ早くに動物病院で診察を受けましょう。
病気を早期発見するためには、定期的な健康診断も有用です。
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