
フィラリア症はワンちゃんの病気というイメージが強いかもしれません、が、室内で過ごすネコちゃんも感染する可能性があります。
フィラリアとは、糸状虫という細長い寄生虫の一種で、いろいろな種類の糸状虫が世界に生息しています。日本で感染が多いのはイヌ糸状虫で、主にワンちゃんに感染(寄生)しますが、ネコちゃんや他の動物、稀ですが人に感染することもあります。
日本でみられる主なフィラリアはイヌ糸状虫なので、ここではイヌ糸状虫のことをフィラリアと記載します。
ご存じの方は多いかと思いますが、フィラリアは蚊が媒介して感染します。
少し詳しくお話しすると、
1.フィラリアに感染したワンちゃんもしくはネコちゃんの体内で生まれたフィラリアの赤ちゃん(ミクロフィラリア)を蚊が吸血します。
2.蚊の体内でミクロフィラリアは感染幼虫(第3期幼虫)まで発育します。
3.感染幼虫を持つ蚊がワンちゃんやネコちゃんを吸血する際に感染がおこります。
4.感染幼虫はワンちゃんやネコちゃんの体の中で成長し、成虫になると赤ちゃん(ミクロフィラリア)を生み、それを蚊が吸血して···というサイクルが繰り返され、感染は広がっていくのです。
このように、感染幼虫を持つ蚊に吸血されることで、ネコちゃんもフィラリアに感染してしまうことがあります。
ただ、ネコちゃんの体内では、感染幼虫が成虫まで大きくなることはあまりなく、ほとんどが死滅してしまいます。
しかし、ネコちゃんの体内で感染幼虫が成長してしまうと、食欲や元気がなくなる、咳·呼吸が苦しくなるなどの症状を示すことがあります。最悪の場合には、何の症状を示すことなく突然死を起こすこともあります。
どうやって検査·予防すればいいの?
フィラリアの検査方法には血液検査がありますが、お話しした通り、ネコちゃんがフィラリアに感染しても成虫になることはあまりなく、成虫になったとしてもその数はとても少ないため、フィラリアに感染しているかどうかを簡易的に検査することは難しいのが現状です。
そのため、最近ではネコちゃんのフィラリア予防が推奨されるようになりました。
予防薬は首の後ろに滴下するスポットタイプが主流です。ただ、スポットタイプだと皮膚炎を起こしてしまうネコちゃんもいるので、その場合には動物病院にご相談されることをお勧めします。
家の中で暮らすネコちゃんでも、蚊に刺されてしまう可能性がある場合には、フィラリア症からネコちゃんを守るため、予防をぜひ検討してみてください。
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